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【労働問題】管理監督者の割増賃金(その1)

「管理職又は店長に対して、残業代を支払っていない。」

という企業様はいらっしゃいませんでしょうか。

 是非知っておいてもらいたいことがあります。

 

 そもそも「残業代」とは何でしょう。

 

実は、残業代という言葉は法律用語にありません。

 

労働基準法では、労働者の労働時間は原則1日8時間とすることが定められており、さらに、労働者が前記の時間を超過して労働をした場合に、超過分につき通常の賃金の2割5分以上の賃金を、通常の賃金に加算して支払うよう使用者に義務付けています(時間外の割増賃金)。

この時間外の割増賃金を支払わないままでいると、労働基準監督署の是正勧告の対象となることがあります。

 

しかし、以上の規定には例外規定があります。

労働基準法第41条2号では、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」については、上記割増賃金の規定が適用されないとされています。以下、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」を管理監督者と呼びます。

 

管理監督者であるか否かは、実態に即して判断すべきと考えられています。誤解されることがあるのですが、以上の判断は、名称に左右されないため「管理職や店長=管理監督者」では必ずしもありません。

 

では、どのような場合に管理監督者に該当するのでしょうか。

 

行政解釈と裁判所が用いる判断枠組みの二種類があり、両者の差異や重点の置き方の違いが議論されてはいるものの、

①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること

②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること

③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていること

(以上、菅野和夫「労働法(第十一版補正版)」 474頁)

を考慮要素とすることで共通していると思われます。

 よって、管理監督者に該当するかについては、具体的な事実に基づいて、①~③の事情があるのかを判断していく必要があるのですが、ある決定的な事実があれば直ちに①~③の要素が認められ、あるいは認められないといえるものではなく、裁判においても原告及び被告から多数の事実が主張され、激しく争われることが多いです。

 

 次回のコラムでは、実際の裁判例において、①から③の要素の判断にあたって裁判例がどのような事実をどのように評価しているかを挙げていきたいと思います。

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【労働問題】管理監督者の割増賃金(その1)

「管理職又は店長に対して、残業代を支払っていない。」

という企業様はいらっしゃいませんでしょうか。

 是非知っておいてもらいたいことがあります。

 

 そもそも「残業代」とは何でしょう。

 

実は、残業代という言葉は法律用語にありません。

 

労働基準法では、労働者の労働時間は原則1日8時間とすることが定められており、さらに、労働者が前記の時間を超過して労働をした場合に、超過分につき通常の賃金の2割5分以上の賃金を、通常の賃金に加算して支払うよう使用者に義務付けています(時間外の割増賃金)。

この時間外の割増賃金を支払わないままでいると、労働基準監督署の是正勧告の対象となることがあります。

 

しかし、以上の規定には例外規定があります。

労働基準法第41条2号では、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」については、上記割増賃金の規定が適用されないとされています。以下、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者」を管理監督者と呼びます。

 

管理監督者であるか否かは、実態に即して判断すべきと考えられています。誤解されることがあるのですが、以上の判断は、名称に左右されないため「管理職や店長=管理監督者」では必ずしもありません。

 

では、どのような場合に管理監督者に該当するのでしょうか。

 

行政解釈と裁判所が用いる判断枠組みの二種類があり、両者の差異や重点の置き方の違いが議論されてはいるものの、

①事業主の経営に関する決定に参画し、労務管理に関する指揮監督権限を認められていること

②自己の出退勤をはじめとする労働時間について裁量権を有していること

③一般の従業員に比しその地位と権限にふさわしい賃金(基本給、手当、賞与)上の処遇を与えられていること

(以上、菅野和夫「労働法(第十一版補正版)」 474頁)

を考慮要素とすることで共通していると思われます。

 よって、管理監督者に該当するかについては、具体的な事実に基づいて、①~③の事情があるのかを判断していく必要があるのですが、ある決定的な事実があれば直ちに①~③の要素が認められ、あるいは認められないといえるものではなく、裁判においても原告及び被告から多数の事実が主張され、激しく争われることが多いです。

 

 次回のコラムでは、実際の裁判例において、①から③の要素の判断にあたって裁判例がどのような事実をどのように評価しているかを挙げていきたいと思います。

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