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【労働問題】★働き方改革(その③)★裁量労働制について

 今国会で審議中の「働き方改革」ですが、その内容は大きく分けて“長時間労働の抑制”と“多様で柔軟な働き方の実現”という二本柱からなります。

 そのうち後者に含まれる“裁量労働制の対象業務の見直し”について、2月28日、安倍総理が、これを改正案から削除することを決定した、と報じられました。

 

 ”対象業務の見直し”とは、企画業務型裁量労働制の対象業務に裁量的にPDCAを回す業務課題解決型提案営業」を追加する、というものでした。

 現行の「企画業務型」裁量労働制は、「事業の運営に関する事項」について「企画、立案、調査及び分析の業務」で、性質上、適切に遂行するために裁量に委ねる必要があるもの、に限られていました。

 具体例としては、経営企画を担当する部署での経営状態等の調査・分析、経営計画策定の業務や、社内制度・人事制度などの策定業務などが挙げられていましたが、これは自社の事業運営に関する計画立案までに限定した業務しか任せてはならず、それ以外の業務に携わらせることはできません。これだけに限定した仕事しか任せられないのは非常に不便だという企業側の不満がありました。

 そればかりか、導入するには本人の同意と、労使委員会の5分の4以上の決議という厳しい手続も必要です。

 そのため、企画業務型の裁量労働制の適用を受ける労働者の割合は、0.3%にとどまっていました。

 

 そこで、企画業務型裁量労働制の利用機会を増やそうと、今回追加される予定だった一つが、「事業の運営に関する事項」について「企画、立案、調査及び分析」を行った上、計画等の実施・運用の管理、評価まで行うというものです。つまり、PLANにとどまらず、いわゆるPDCA(PLAN計画→DO実行→CHECK評価→ACT改善)を回す業務ということです。

 もう一つが、自社ではなく顧客企業の事業について企画・立案等の業務を行い、その解決のための商品販売・サービス提供を内容とする業務です。

 改正法が成立すれば、現行法の限定され過ぎた対象業務しかない場合と比べて、企業側にとって非常に使いやすくなる、というのが政府の立場でした。

 

 これに反対する立場からは、裁量労働制が適用された場合には長時間残業に歯止めがかからなくなるのではないか、という指摘がありました。

 こういった指摘に対し、健康確保措置として、特別の休暇付与などが定められることとされていましたが、それだけでは長時間労働の抑制というもう一つの柱に反するような結果となりかねないことから、今回、裁量労働制を拡大しても長時間労働が増加することはない、ということを示す必要があったわけです。

 しかし、今回、改正しても長時間労働が増えることがない、ということを説明するための調査結果データに不自然な点が多く見つかったことで、長時間労働の増加につながることはない、という説明が困難になってしまいました。

 使い勝手が良くなるものの、改正後に制度の適用対象となった従業員が長時間労働に苦しみ、過労死や過労自殺の問題が増加した、というのでは、今回の「働き方改革」の意義が問われかねません。

 今回の改正断念の判断、一旦は、やむを得ないところだと思われ、今後の再調査などの対応を見守りたいところです。

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【労働問題】★働き方改革(その③)★裁量労働制について

 今国会で審議中の「働き方改革」ですが、その内容は大きく分けて“長時間労働の抑制”と“多様で柔軟な働き方の実現”という二本柱からなります。

 そのうち後者に含まれる“裁量労働制の対象業務の見直し”について、2月28日、安倍総理が、これを改正案から削除することを決定した、と報じられました。

 

 ”対象業務の見直し”とは、企画業務型裁量労働制の対象業務に裁量的にPDCAを回す業務課題解決型提案営業」を追加する、というものでした。

 現行の「企画業務型」裁量労働制は、「事業の運営に関する事項」について「企画、立案、調査及び分析の業務」で、性質上、適切に遂行するために裁量に委ねる必要があるもの、に限られていました。

 具体例としては、経営企画を担当する部署での経営状態等の調査・分析、経営計画策定の業務や、社内制度・人事制度などの策定業務などが挙げられていましたが、これは自社の事業運営に関する計画立案までに限定した業務しか任せてはならず、それ以外の業務に携わらせることはできません。これだけに限定した仕事しか任せられないのは非常に不便だという企業側の不満がありました。

 そればかりか、導入するには本人の同意と、労使委員会の5分の4以上の決議という厳しい手続も必要です。

 そのため、企画業務型の裁量労働制の適用を受ける労働者の割合は、0.3%にとどまっていました。

 

 そこで、企画業務型裁量労働制の利用機会を増やそうと、今回追加される予定だった一つが、「事業の運営に関する事項」について「企画、立案、調査及び分析」を行った上、計画等の実施・運用の管理、評価まで行うというものです。つまり、PLANにとどまらず、いわゆるPDCA(PLAN計画→DO実行→CHECK評価→ACT改善)を回す業務ということです。

 もう一つが、自社ではなく顧客企業の事業について企画・立案等の業務を行い、その解決のための商品販売・サービス提供を内容とする業務です。

 改正法が成立すれば、現行法の限定され過ぎた対象業務しかない場合と比べて、企業側にとって非常に使いやすくなる、というのが政府の立場でした。

 

 これに反対する立場からは、裁量労働制が適用された場合には長時間残業に歯止めがかからなくなるのではないか、という指摘がありました。

 こういった指摘に対し、健康確保措置として、特別の休暇付与などが定められることとされていましたが、それだけでは長時間労働の抑制というもう一つの柱に反するような結果となりかねないことから、今回、裁量労働制を拡大しても長時間労働が増加することはない、ということを示す必要があったわけです。

 しかし、今回、改正しても長時間労働が増えることがない、ということを説明するための調査結果データに不自然な点が多く見つかったことで、長時間労働の増加につながることはない、という説明が困難になってしまいました。

 使い勝手が良くなるものの、改正後に制度の適用対象となった従業員が長時間労働に苦しみ、過労死や過労自殺の問題が増加した、というのでは、今回の「働き方改革」の意義が問われかねません。

 今回の改正断念の判断、一旦は、やむを得ないところだと思われ、今後の再調査などの対応を見守りたいところです。

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