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【企業法務】コロナ禍による失業状況と整理解雇への備え

2021129日に公表された労働力調査(総務省統計局)によると、202012月時点での月次の完全失業率は2.9%で、前年に比べれば0.5%のマイナス、49万人増加となっています。海外では、同じく昨年末の時期に次のようになっています(カッコ内は20201月時)。

アメリカ 6.7%(3.5%)、イギリス 5.0%(4.0%)、ドイツ 4.5%(3.4%)、フランス 7.7%(8.8%)

アメリカでは、一時期14.8%まで悪化したものの、持ち直していて、他欧州各国でもそこまで大きく失業が進行していない、ということが分かります。

これは勿論、各国の財政出動が功を奏しているからですが、特に日本では雇用調整助成金のおかげで諸外国に比べても失業率の上昇は抑えられていると思われます。

 

しかし、雇用調整助成金が終了した後は、企業側からの退職勧奨や整理解雇といった形で人件費を抑制しなければ経営存続が危うい企業が多いのではないかと言われています。

ただ、順序としては、整理解雇をする前に退職勧奨や、有期雇用社員の雇止めといった「解雇回避努力」をすることが必要ですし、労使で話合いをすることも必要です。

つまり、整理解雇については、四要素(四要件)として、①人員削減の必要性、②解雇回避努力の有無、③人選の合理性、④手続の相当性ということが検討される必要があるのですが、その中でも②と④は適切にアクションをしておかなければならない、ということになります。

また、①の人員削減の必要性は、解雇しなければ「倒産必至」という状況でなくても良いとされています。それでも、黒字の状況では難しいのではないかとも思われ、月次での試算表や将来の利益見通しを踏まえて判断することが必須になります。

それと、難しいのは③の人選の合理性です。人事考課の妥当性は、例えば昇進・昇格の場面なんかでも取り上げられるでしょうが、そこは人事権の裁量の幅が広いと思われます。しかし、解雇の場面では、裁判所も公平・公正な評価がなされているか、といった判断が出てきます。

例えば、不採算店舗の閉鎖を決定したような場面では、当該店舗の人員を削減対象とすることは受け入れやすいかもしれませんが、事業自体の変更がないような場面では、誰を削減すべきかは、非常に難しい選択になると思われます。人選基準まで労使間で話し合って決めよう、といった実務対応ができれば理想ですが、使用者側で削減対象を既に決めてしまっている場合や、労働者側では整理解雇自体に抵抗することも当然あり得るため、難しい交渉になるかもしれません。

弁護士 本江嘉将

 

 

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【企業法務】コロナ禍による失業状況と整理解雇への備え

2021129日に公表された労働力調査(総務省統計局)によると、202012月時点での月次の完全失業率は2.9%で、前年に比べれば0.5%のマイナス、49万人増加となっています。海外では、同じく昨年末の時期に次のようになっています(カッコ内は20201月時)。

アメリカ 6.7%(3.5%)、イギリス 5.0%(4.0%)、ドイツ 4.5%(3.4%)、フランス 7.7%(8.8%)

アメリカでは、一時期14.8%まで悪化したものの、持ち直していて、他欧州各国でもそこまで大きく失業が進行していない、ということが分かります。

これは勿論、各国の財政出動が功を奏しているからですが、特に日本では雇用調整助成金のおかげで諸外国に比べても失業率の上昇は抑えられていると思われます。

 

しかし、雇用調整助成金が終了した後は、企業側からの退職勧奨や整理解雇といった形で人件費を抑制しなければ経営存続が危うい企業が多いのではないかと言われています。

ただ、順序としては、整理解雇をする前に退職勧奨や、有期雇用社員の雇止めといった「解雇回避努力」をすることが必要ですし、労使で話合いをすることも必要です。

つまり、整理解雇については、四要素(四要件)として、①人員削減の必要性、②解雇回避努力の有無、③人選の合理性、④手続の相当性ということが検討される必要があるのですが、その中でも②と④は適切にアクションをしておかなければならない、ということになります。

また、①の人員削減の必要性は、解雇しなければ「倒産必至」という状況でなくても良いとされています。それでも、黒字の状況では難しいのではないかとも思われ、月次での試算表や将来の利益見通しを踏まえて判断することが必須になります。

それと、難しいのは③の人選の合理性です。人事考課の妥当性は、例えば昇進・昇格の場面なんかでも取り上げられるでしょうが、そこは人事権の裁量の幅が広いと思われます。しかし、解雇の場面では、裁判所も公平・公正な評価がなされているか、といった判断が出てきます。

例えば、不採算店舗の閉鎖を決定したような場面では、当該店舗の人員を削減対象とすることは受け入れやすいかもしれませんが、事業自体の変更がないような場面では、誰を削減すべきかは、非常に難しい選択になると思われます。人選基準まで労使間で話し合って決めよう、といった実務対応ができれば理想ですが、使用者側で削減対象を既に決めてしまっている場合や、労働者側では整理解雇自体に抵抗することも当然あり得るため、難しい交渉になるかもしれません。

弁護士 本江嘉将

 

 

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