弁護士法人 本江法律事務所

弁護士法人 本江法律事務所
ホームトピックスコラム › 電子署名の方法と効力

トピックス

TOPICS
コラム

電子署名の方法と効力

電子署名について、日経産業新聞電子版2021/2/22に「ハンコ、電子署名「標準」争い GMO vs 弁護士コム」の記事がありました。
 
弁護士ドットコムが提供するクラウドサインは、広告の成果もあって、売上が倍増している状況です。
クラウドサインは、元々、電子署名法が意図していなかった「立会人型」という方式で、つまりサービス事業者である弁護士ドットコムが電子署名を行う、というものです。海外では、これが普及しており、大手のドキュサインも立会人型がメインのサービスとなっているようです。
 
一方、GMOインターネットのサービスには立会人型だけでなく、当事者型もあるとのことで、立会人型の電子署名の法的効力に懐疑的な見方を示す企業がこちらを選択する流れというのもあるように思われます。
 
取引に関する契約との関係では第三者に当たる電子署名サービスの提供事業者による電子署名に、電子署名法の適用があるかどうか、というのが、立会人型を選択して良いかを判断するのに必要な検討課題でした。
要するに、立会人型の電子署名では、当事者による電子署名があったと言えないという解釈がなされるリスクがあったということです。
 
この点について、総務省などに対し、グレーゾーン解消制度を利用した照会の結果、総務省・法務省・経済産業省・財務省の回答において、立会人型の電子署名にも電子署名法の適用があることが明確になりました。
これで、電子署名を使うときに当事者双方が電子証明書の発効を受けるといった過程を省略しても、当事者は、電子署名として有効な署名を行うことが可能、ということになります。
 
もっとも、電子署名法3条の適用により、本人の電子署名による真正成立の推定が及ぶかどうかは、各サービスにおいて本人確認の認証手続として二段階認証が採用されていることに加え、事業者側においても本人によるものであることを担保するための仕組みが適切に構築されていることが求められており、この点は、個々の事業者が提供するサービスごとにその要件を充足するかを確認する必要があると思われます。
 
また、電子署名には、各サービスの約款上、有効期間が定められたり、企業の担当者として電子署名の操作を行う者が、当該企業の代表権を有する者との関係で適切に権限委任を受けた者であるか、など、裁判上の証拠確保という観点で、紙媒体の契約書に匹敵する、あるいはそれ以上に信頼がおける契約書の作成がサポートされているとまで言えるかというと、課題は残っているように思います。
 
そのため、現時点では当事務所の顧問先企業に対して、立会人型の電子署名でも、迅速に進めるべきビジネスにおいて利用することはともかく、特に重要な契約については、先方担当者が真に権限を委任されているかなどを確認しつつ、紙媒体で交わすことを検討して欲しいというアドバイスをするようにしています。
 
電子署名の効力については、引き続き、各社のサービス実態、各種ガイドラインの他、裁判例などの集積も踏まえて判断する必要があり、導入する場合も、将来、他社サービスに乗り換える時のことを考えて導入するといった慎重さが求められます。
 
弁護士 本江嘉将
トピックス一覧
コラム

電子署名の方法と効力

電子署名について、日経産業新聞電子版2021/2/22に「ハンコ、電子署名「標準」争い GMO vs 弁護士コム」の記事がありました。
 
弁護士ドットコムが提供するクラウドサインは、広告の成果もあって、売上が倍増している状況です。
クラウドサインは、元々、電子署名法が意図していなかった「立会人型」という方式で、つまりサービス事業者である弁護士ドットコムが電子署名を行う、というものです。海外では、これが普及しており、大手のドキュサインも立会人型がメインのサービスとなっているようです。
 
一方、GMOインターネットのサービスには立会人型だけでなく、当事者型もあるとのことで、立会人型の電子署名の法的効力に懐疑的な見方を示す企業がこちらを選択する流れというのもあるように思われます。
 
取引に関する契約との関係では第三者に当たる電子署名サービスの提供事業者による電子署名に、電子署名法の適用があるかどうか、というのが、立会人型を選択して良いかを判断するのに必要な検討課題でした。
要するに、立会人型の電子署名では、当事者による電子署名があったと言えないという解釈がなされるリスクがあったということです。
 
この点について、総務省などに対し、グレーゾーン解消制度を利用した照会の結果、総務省・法務省・経済産業省・財務省の回答において、立会人型の電子署名にも電子署名法の適用があることが明確になりました。
これで、電子署名を使うときに当事者双方が電子証明書の発効を受けるといった過程を省略しても、当事者は、電子署名として有効な署名を行うことが可能、ということになります。
 
もっとも、電子署名法3条の適用により、本人の電子署名による真正成立の推定が及ぶかどうかは、各サービスにおいて本人確認の認証手続として二段階認証が採用されていることに加え、事業者側においても本人によるものであることを担保するための仕組みが適切に構築されていることが求められており、この点は、個々の事業者が提供するサービスごとにその要件を充足するかを確認する必要があると思われます。
 
また、電子署名には、各サービスの約款上、有効期間が定められたり、企業の担当者として電子署名の操作を行う者が、当該企業の代表権を有する者との関係で適切に権限委任を受けた者であるか、など、裁判上の証拠確保という観点で、紙媒体の契約書に匹敵する、あるいはそれ以上に信頼がおける契約書の作成がサポートされているとまで言えるかというと、課題は残っているように思います。
 
そのため、現時点では当事務所の顧問先企業に対して、立会人型の電子署名でも、迅速に進めるべきビジネスにおいて利用することはともかく、特に重要な契約については、先方担当者が真に権限を委任されているかなどを確認しつつ、紙媒体で交わすことを検討して欲しいというアドバイスをするようにしています。
 
電子署名の効力については、引き続き、各社のサービス実態、各種ガイドラインの他、裁判例などの集積も踏まえて判断する必要があり、導入する場合も、将来、他社サービスに乗り換える時のことを考えて導入するといった慎重さが求められます。
 
弁護士 本江嘉将
トピックス一覧