遺言作成のポイントとは

遺言書の役割と種類

法律上の遺言書というのは、「遺書」とは全く異なり、遺言者の財産について処分の仕方を定める法的な効力を持った書面です。記載すべきは、どの財産をどの相続人に「相続させる」か、ということです。

遺言書には、大きく分けて、公正証書遺言と自筆証書遺言があります。どちらも遺言書としての効力に変わりはありませんが、作成の仕方や、相続が開始した(遺言者が亡くなった)後の動きが若干異なるため、遺言書を作成するときには、どちらの方法で遺言書を作るか、ということを判断していただく必要があります。

そのための一助となるよう、以下に解説します。

自筆証書遺言の作成の仕方

自分で作成する遺言書のことを自筆証書遺言といいます。
その要件として、遺言者自らの手で、その全文、日付及び氏名を記載して、押印することが必要です。日付については、年月までの記載や平成〇年〇月吉日といった記載では無効とされます。
また、記載日と異なる日付を記載したときも、遺言が無効となる場合があります。
押印は、署名の横や下にするのが原則です。
封筒の封印は、必須ではありませんが、封印があれば、遺言者が亡くなった後、開封するためには検認手続が必要となり、その手続の前に開封すると5万円以下の過料に処せられることがあります。
相続法の改正によって、この要件は緩和され、遺言書に添付する財産目録は手書きである必要はない(ただし、目録の各ページに署名・押印が必要)ということになりました。

公正証書遺言の作成の仕方

一方、公正証書遺言は、公証役場で遺言者が公証人に遺言内容を口授して作成する遺言です。
公証役場まで赴くことが困難な場合には、公証人が遺言者の住居まで出向くことも可能です。
公証人の他、2名の証人(親族以外の方が適任です。)が必要で、遺言者が公証人に相続財産をどういう形に分けるか、ということを口授(発言)する場面を隣で見ていてもらうことになります。
気をつけなければならないのは、公正証書遺言だからといって、遺言書として必ず有効ということにはならないということです。
確かに作成に際しては、遺言者が自分の言葉で遺言をするところを公証人が聞いて、それを書く、ということが形式的には求められ、現実にそのような流れはあるのですが、実際には公証人への口授に先立ち、遺言者か、その代理人などが公証人と遺言内容について打ち合わせ済みになっていて、当日は公証人もそれを確認できればOK、といった雰囲気もあるためか、裁判例には公正証書遺言が無効になった事案もそれなりに多いということが言えます。
公正証書遺言を選択するメリットとして大きかったのは、作成した公正証書遺言が公証役場で保管してもらえる、ということだったのですが、今般の法改正で、自筆証書遺言も公証役場が預かってくれる制度ができました。残るメリットとしては、公証人というプロが文案作成に携わってくれることで、条項として有効であるものが作れる、ということもあります。

遺言書の内容の定め方

遺言書の内容として、どのような文面にすれば将来の相続人同士の争いを防ぐことができるか。これについては、何が優先事項か、ということにも関係してきますが、遺言者の立場からすれば、遺言書を作成するから、相続人同士の争い予防こそが最優先、ということは珍しくありません。
そして、相続人同士の争いを防ぐという観点から遺言作成時に気を付けるべきこととしては、次の事項があります。
• 遺産の全部について、漏れなく、どの相続人に割り付けたのかが明確な内容にすること。
• 各相続人の遺留分を侵害をしないような内容とすること。
• 文言として、2つの意味に解釈できるような表現を用いないこと。
• 生前贈与などの事情が背景にあるときは、そのことを具体的に記載すること。

もちろん、これに限られる話ではないにしても、参考にしてもらいつつ、更に複雑な内容は、専門家に相談して詰めていただく必要があります。

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2006年弁護士登録以来、企業法務、事業再生・債務整理、税務関係、交通事故、消費者事件、知的財産権関係、家事事件(相続・離婚その他)、
その他一般民事、刑事事件、少年事件に取り組む。講演実績は多数あり、地域経済を安定させる、地域社会をより良くしていくことに繋がる。
こう確信して、一つ一つの案件に取り組んでいます。

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