能力不足やパフォーマンスが低い問題社員にどう対応するか【福岡で企業法務に強い顧問弁護士】

能力不足やパフォーマンスが低い問題社員

企業は、従業員を採用するときに提出された書類に記載された職務経歴や面接での受け答えを通じて、その従業員に割り当てられた業務を遂行する上で、一定の能力があるものと見込んでいるのが通常です。

しかし、実際に就業を開始した時点で、期待されたほどの能力がないことが判明することは、相当に採用戦略に長けた会社においても珍しくありません。

また、能力の有無はともかく、個人としての業績・成果が出せていない従業員の存在も、同じく人事での悩みとして、どの業界でも起こり得ることです。

そういった従業員を解雇するときに気を付けるべきことは、こちらで解説しています。裁判では無効となるか有効となるか微妙なケースも多いですが、その判断基準は参考になります。
裁判例の傾向からすると、従来の日本企業に多く見られた職務・職種を限定せずに採用された従業員であれば、解雇をする前に他の対応ができたと考えられる結果、解雇が無効になる可能性が高くなる、といったことは言えると思います。

企業として、どのような対策・対処を講じれば良いか

ここでは、解雇を最終手段と考え、その決定の前に、どのような方法で対策できるか、あるいは対処できるか、ということを整理します。

① 試用期間の設定・延長

能力不足やパフォーマンスの低さは、採用した後で初めて発覚します。そして、入社から一定期間の仕事ぶりを見てみなければ、その能力不足等の問題が解決可能なレベルなのか、それとも解決が難しいレベルなのかが分かりません。試用期間は、そういった観察を行う(それに先立ち指導が必要ですが)機会として捉えるべきです。

したがって、試用期間中に能力的な問題がありそうだと気づいた場合、その評価を明確にするために客観的な記録をつけ、場合によっては試用期間を延長して、慎重に判断をするために指導と観察を続ける必要があります。

試用期間満了時における本採用許否は、解雇と同様に濫用として無効になる可能性もあるため、できる限り専門家の意見も踏まえて、慎重に判断すべきと思われます。

② 的確な指導とその後の改善の有無

試用期間中も本採用後も同様に、能力不足等の問題社員に対しては、随時、的確な指導を行ったことを記録として残しておく必要があります。また、指導後の業務遂行状況を見て、指導した点について改善が見られたかどうかも、やはり記録化しておくべきです。

できる限り、数値化や見える化(写真などの客観資料)をすることで、主観的な評価ではないと説明する準備をしておくことが必要です。

③ 異動・配置転換・降格で会社に残る道を示す

職務・職種が限定されていない従業員であれば、適性がないと思われる業務から別の業務へと異動・配置転換を命じることによって、能力不足といった問題が解決できる可能性があります。従業員の意向・希望も踏まえつつ、配置転換を行うことは、一定の規模の企業では必ず実施しておくべき対処法と思われます。

水平的な異動をするには、その枠がなかったり、社内的に支障がありそうということであれば、降格ということも検討が必要です。

④ 退職勧奨の試み

会社としては、できることを全部したと思える状態になったら、退職勧奨による退職を打診することが重要です。

退職勧奨においては、穏便な退職を目指すため、できる限り、当該問題社員のプライドを傷つけないよう、その実績に対するプラスの評価も忘れずにコメントして進めるようにします。また、退職の結論を急がせることは、後日、真意ではなかった、という形で紛争化する可能性があるため、避けた方がいいでしょう。

顧問弁護士、弁護士による労務コンサルティングの活用を

当事務所では、予防法務の視点から、労務的な問題を抱えた企業様には、顧問弁護士からのアドバイスを受けていただくよう推奨しております。また、当事務所では退職勧奨や解雇等の人事的な対応をするときには、弁護士による労務コンサルティングを受けながら行うことによって、労務の紛争化を防ぎながら、社内の労働生産性を向上を図ることが可能になります。

是非お気軽にご相談下さい。

 

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2006年弁護士登録以来、企業法務、事業再生・債務整理、税務関係、交通事故、消費者事件、知的財産権関係、家事事件(相続・離婚その他)、
その他一般民事、刑事事件、少年事件に取り組む。講演実績は多数あり、地域経済を安定させる、地域社会をより良くしていくことに繋がる。
こう確信して、一つ一つの案件に取り組んでいます。

※日本全国からのご相談に対応しております。

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