会社の指示に従わない従業員を解雇する方法【福岡で企業法務に強い顧問弁護士】

会社の指示に従わない従業員の問題

  • 何度注意しても従業員が遅刻や無断欠勤を繰り返す。
  • 従業員が「自分には良く分からないから、他の人に頼んで下さい。」と言って仕事を断る。
  • 残業しなければ終わらない仕事を頼まれても、「残業はしたくないので」と言って途中で帰ってしまう。

業務に関する指示に素直に従わない従業員の存在に悩んでいる会社は少なくありません。
企業としての組織運営において、株主総会で行うべき一部の重要事項を除き、ほとんどの意思決定が取締役会に委ねられています。そのため、業務執行の指示系統は原則としてトップダウン型であることが一般的で、プロジェクト単位など一部のタスクについては、ボトムアップ型、つまり従業員側で業務の進め方などを決定していく方法が取られます。それでも、最終的には上層部の承認を得られなければならないという点で、業務指示についての最終判断の権限は実質的に代表取締役が掌握しているというのが、特に中小企業においては顕著です。

そのため、業務指示に従わない従業員に対しては、解雇できて当然、と捉えている会社も少なくないと思われます。
実際、業務指示に違反することは、ほとんどの企業で就業規則上の服務規律違反に該当し、解雇事由や懲戒事由にも挙げられています。

それでも、業務指示を理由として解雇した結果、裁判になった場合、非常に厳しい要件が求められます。

業務指示違反を理由に解雇するための要件とは

業務指示違反を理由とした解雇の場合、まず、その前提となる業務命令が現実にあったかどうか、あったとして、その業務命令が有効だったかどうか、が問われます。
業務命令が口頭で行われたにすぎない場合に、従業員が「言われていない」と対応すると、最終的には水掛け論になってしまい、業務指示違反を主張する会社側が立証できずに敗訴する可能性が高まります。

また、業務命令があったことが認められても、それが従業員の雇用契約上の業務内容に含まれていなかったり、従業員に対する嫌がらせのような内容であったり、あるいは業務遂行にとって必ずしも必要でない指示であったりすると、業務指示自体が業務命令権の濫用とされ、それに従わなかったことは服務規律違反ではない、という評価になりかねません。そのため、まずは具体的な業務指示が、合理的かつ必要なものでなければならない、ということになります。

さらに、業務指示違反が服務規律違反として認められるとしても、それを理由に解雇をすることについて「客観的かつ合理的な理由」があると認められ、「社会通念上相当であると認められない」場合でないことが必要です。

業務指示違反は、解雇事由として主張するほどの重大なものかどうか。
それ以外の個別事情(その従業員の従前の貢献度や他の従業員に対する処分との均衡、解雇に向かう手受ける続の適切さ)などを考慮に入れたときにも妥当と言えるかどうか。
これらを検討して、それでも解雇が必要であり相当だったと言えなければ、解雇は解雇権を濫用したものとして無効になってしまいます。

有効な解雇のためのプロセスとは

業務指示違反の場合、非違行為による解雇の場合と違い、業務命令についての理解を求めるプロセスが非常に重要です。
多くの場合、従業員がその業務命令が重要でないとか、おかしい、と感じているために、これに従わないという事態が発生します。
そこで、業務命令の重要性について、一定の時間を設けて説明をし、疑問を出させて、これに回答する、といったプロセスを経ることが必要で、できればこのプロセスを書面等に記録しておいた方がいいと思います。

そのようなプロセスを経てもなお従業員が理解を示さず、その態度に正当な理由が認められない場合であっても、まずは、解雇よりも軽い懲戒処分を検討するべきです。
この点、従業員が業務指示に違反する理由が、パワハラを受けたり、長時間労働で精神的に疲弊していたといった経緯にあった場合には、懲戒処分についても慎重な判断が必要です。

いずれにせよ、処分をする前に、事実関係について十分に裏付けを確認し、それを客観的に評価した場合に、懲戒処分をするべきかどうか、それとも懲戒処分を飛ばして、解雇が必要といえるかということを検討することになります。
この検討に際しては、改めて本人へも聞き取りを行うべきです。
最終的には、自主退職を促したうえで、これに応じないときには解雇も止むを得ない、と言えるケースもあるかと思います。

解雇が相当かどうかは専門家に相談を

具体的なケースでは、顧問弁護士などの専門家に相談することは、解雇に先立ち絶対に必要です。紛争に発展した場合に備えて、どのような準備が必要か、訴訟において勝つ見込みがどの程度あるか、といった紛争を経験している専門家によるアドバイスを受けることなく解雇に踏み切ることは、極めてリスクが大きいと考えられます。

福岡で使用者側の労働問題に強い弁護士

業務指示に従わない従業員に関する解雇等のご相談は、実績のある弁護士にお任せください。

「労働問題に強い弁護士」に相談するのはもちろん、普段から就業規則など自社の労務環境の整備を行っておくために使用者側の労働問題に強い弁護士にすぐに相談できる体制にもしておきましょう。

顧問弁護士に関する具体的な役割や必要性、相場などの費用については、以下の記事をご参照ください。

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2006年弁護士登録以来、企業法務、事業再生・債務整理、税務関係、交通事故、消費者事件、知的財産権関係、家事事件(相続・離婚その他)、
その他一般民事、刑事事件、少年事件に取り組む。講演実績は多数あり、地域経済を安定させる、地域社会をより良くしていくことに繋がる。
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