自己都合退職の退職金|支給時期や発生時期を紹介

使用者の退職金支払義務の根拠

退職金の支払いは、会社が労働者と個別に労働契約で退職金について合意するか、就業規則や労使間の労働協約で定めない限り、原則として、会社の義務ではありません。

但し、労使慣行によって退職金支給が義務付けられる場合もあるため、裁判になれば、従来の取り扱いがどのようになっていたかということも考慮されて退職金支払義務があるかどうかが判断されることとなります。

自己都合退職の退職金

退職金の支給について就業規則に定める場合(就業規則に「退職金については、退職金規程に定める」として、別に退職金規程を設ける場合を含みます。)、就業規則には、適用される労働者の範囲、退職金の支給要件、金額の計算方法、支払方法、支払時期について定めることとされています。

どのように定めなければならないか、あるいはそれ以外に何を定めるかは、原則、会社が自由に設計することができることになります。
例えば、退職金の支払いについて、中小企業退職金共済制度(中小企業退職金共済事業本部:中退共)を利用するとしている場合には、積立てを要件としつつ、支払方法や計算方法は中退共の定めに従うこととなります。

したがって、自己都合退職の場合、会社都合退職の場合よりも退職金の額が低くなるような内容の定めも有効です。

退職金の支給時期も自由?

労働基準法23条1項には、「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。」という規定があります。

したがって、退職する従業員が、退職後すぐに(通常の給与支給日前に)賃金を支払うよう求めてきた場合、会社は退職から7日以内に支払いをする必要があります。

退職金も、労働基準法上の賃金にあたるとされますが、もともと義務付けられた「賃金」ではなく、支払日は就業規則等で自由に設定できることから、7日以内の支払をする必要はありません。

退職金の発生時期はいつ?

では退職金請求権はいつ発生するのでしょうか。

退職金の支払いは、退職した従業員になされます。そのため、判例などでも退職金の請求権も退職時に初めて確定的に発生するとされています。

但し、差押えとの関係では、従業員が退職する前で退職予定もない時期であっても、退職金規程等で退職金の計算基準が定められている場合には、その見込み額の一部が差し押さえられることとなるので、注意が必要です。

自己都合退職時の退職金について悩んだときは

自己都合退職の退職金は従業員にとっては退職後の生活にとって非常に重要であるため、会社に対して請求する場合には裁判になることも珍しくありません。

会社側としても自社の退職金制度の解釈にかかわることもあるため、会社側で労働問題に取り組んだ経験豊富な弁護士に相談しながら対応していく必要があります。当事務所は福岡天神に拠点を構え、長年、企業からの労務トラブル相談に対応してきた実績があります。どうぞお気軽にお問合せください。

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2006年弁護士登録以来、企業法務、事業再生・債務整理、税務関係、交通事故、消費者事件、知的財産権関係、家事事件(相続・離婚その他)、
その他一般民事、刑事事件、少年事件に取り組む。講演実績は多数あり、地域経済を安定させる、地域社会をより良くしていくことに繋がる。
こう確信して、一つ一つの案件に取り組んでいます。

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